1-1
相手のスペースに入り込む。
威圧する演者が2-3歩前に出るのを、広角レンズ、ローアングルからティルトアップで見上げる。
もう1人の演者は、望遠レンズ、水平アングルで固定、頭の高さで撮る。
※広角レンズは人物に威圧感を加え、望遠レンズはより魅力的に映す。
1-2
ドアを中心に人物配置全体の説明ショット
→ローアングルの肩越しショットで主人公を映す。
→浅めの望遠レンズでいちばん奥の人物を映し、他をボケさせる。
※一般的にドアは「越える必要のある境界線」の意がある。
※ちょい役が警戒心を和らげることで主役の威光を描ける。
1-3
カップルor仲良しの2人を背後から捉える。
→奥からもう1人やってきて2人の間に立つ
疎外される演者以外が正対。三角形に等間隔に並ぶ。(本来カップルの距離感の方が近くなる。)
→望遠レンズで、疎外されてる人物を真ん中にフレーミング、会話に夢中になっている2人の顔がフレームのように挟み込む。
疎外された演者は2人の顔を交互に見比べるのみ。
1-4
クロッシングライン(イマジナリーライン)を越えて撮る。
事前に会話をしている情景を映しておき、エレベーター待ちなどで背中を向けているという状況作りをして、観客が把握できているお膳立てしてからやる。
※イマジナリーラインは、2人の演者の立ち位置を結んだもの。カメラは基本跨いではいけない。
1-5
障壁はテーブル、椅子、窓のある壁、曇りガラスなどがよい。
演者の体の向きは背け合っているべき。
壁があることで声を強める正当性が出る。
対立が激しくなると壁を越えてゆく。
1-6
最初に対立する2人の演者を側面で捉える。
→歩き出しで、画面右の演者が画面正面に向かってきて表情を見せ、右へターンして歩く。
→画面左にいた演者が自然な形で画面右へ歩き出し、もう1人の演者に対して奥側一歩前で顔をこちらに向けて話出す。
※対立する演者を描く時は側面からになりがちでになるが、この方法で表情を見せられる。
※立ち位置が左右入れ替わっていることに注目。
1-7
3人が画面左方向へ並んで歩くショット。
(このあと、手前の2人が対立、奥の人は傍観する。)カメラの高さは手前の2人に合わせておくことで、奥の人物が画面中央に来てもシーンの中心人物と見なされないですむ。
→会話が対立に発展して、1人が立ち止まる。もう1人はそのまま少し歩いて向きを変え正面から対立する。傍観者は自然な形で2人の奥で様子を見守る。
カメラの移動は演者よりゆっくり目におこなう。
1-8
演者がもう1人の演者の正面に向かって口論しながら躍動的に移動していくのを手持ち広角カメラが弧を描きながら追い、顔を突き合わせ、睨み合いになった瞬間
→固定の望遠クローズアップに繋ぐ。ここでの会話の声は囁くようなものにしても効果的。
※広角ショットの終盤は繋ぎ不快にならないようにスピードダウンする。
1-9
空間を手前、中間、奥と意識できるような画面構成にする。
狭い部屋であれば、カメラは壁際に置くことを真っ先に考える。
広い空間であればこそ対立の構図と攻撃性を演出できる。
1-10
主人公が離れたところに集まる派閥集団の別の人物に語りかけ、無視されるシチュエーション。
主人公の顔は正面を向いているが、体は横を向いており、正面から問題に直面するのを嫌がっているのを表している。
→望遠レンズで肩越しショットで捉えた相手は、背中を向け会話する気がないようふるまう。
※距離が圧縮され大きく威圧的に描写される。
→ワイドショットで、派閥集団側からの切り返し。奥に主人公が小さく孤立して映る。
2-1
テーブルで話す演者たちに対し、距離感を一定にカメラが弧を描いて捉える。静かに囁くように話す様子が強調される。
演者の目を真っ直ぐ見れる瞬間が提供される。彼らが見つめ合ってるのか、背けているかが感じ取れる。
2-2
2人の演者が高低差のあるところで会話をしている。広角でその距離感を強調して捉える。
→信頼感が高まるにつれ高い位置にいた演者が降りてきて、もう1人も歩み寄る。レンズもどんどん望遠にしていきで距離感を近づける。
※ここでは、高さ、距離、レンズを用いてドラマ性を演出したことに注目。
2-3
ギョッとさせる人物(男)のショットは、相手の胴体の高さから撮ることでアングルを誇張する。また、ピンがボケるものの相手の顔のリアクションも画面隅に捉えられる。
いずれのカットにも怯える人物の表情リアクションが捉えられており、観客が感情移入するようになっている。
2-4
取り乱してる人(主人公)の後頭部と聴取する人の顔を映す。
→カメラが前進し、聴取者のみに寄る。
→リバースで取り乱す主人公の表情を捉える。
※コミュニケーションがうまく取れない状況、相手が主人公の言葉に耳を貸さない状況を描くのに有効。
2-5
配置状況説明で、2人の演者の背後を映す。
ときおり顔を軽く相手に傾けるが、視線は合わせずに会話する。
→少し距離をとった位置から望遠レンズで撮る。背後からの肩舐めだが、手前の肩と背景はボケる。
→切り返しのショットも同様におこなう。
※演者の頭部周辺に空間をとり、周囲の環境がわかるものを背景に入れることで、密談の印象を観客が認識できる。
※固定カメラで演者の姿を部分的にだけ映すのがキモ。
2-6
2人の演者をそれぞれのカットで画面の左右どちらか同じ側にフレーミングさせることで違和感・緊張感を出す。
カメラの高さは主人公の頭の高さ。
※位置関係の混乱を避けるため、シーン冒頭で比較的広めにとらえたワイドショットにし、主人公が部屋のどの位置にいて、視線をどこに向けているか明示するのが良い。理想は、主人公が目線を投げかけた瞬間に相手のカットへ繋ぐこと。
2-7
2人の演者がバーなどで並んで会話しているのを望遠レンズで正面から捉える。
→フォーカスを維持しながら、ドリーで静かに2人に寄っていくが、最終的に主人公だけを見上げる形で締めくくり、長くならないうちに次のカットへ移行する。
2-8
脅威を与える演者を低い位置。ナーバスな演者を高い位置。カメラの高さは常に脅威を与える演者に合わせる。
→アンバランスなフレーミング(視線方向や画面配置のチグハグな感じ)でナーバスな演者が高さを引き下げる。※ナーバスな演者が主人公であればなおのこと相手の高さに引き下げられた違和感が生まれ、主人公の怖れを演出できる。最終的主人公の意に反して同じ高さに引き下げられれば、相手の脅威に屈した様を演出できる。
2-9
望遠レンズを使い、顔を画面枠で囲むようなフレーミングをおこない、息詰まる閉塞的な雰囲気を出しつつ、演者の目を真っ直ぐ覗き、表情の機微を詳細に捉える。背景や肩舐めはボケさせ、表情だけを捉える。
→会話があっても少しの間、呆然とそのままのカットを長引かせると良い。
→切り返しのショットでは、イマジナリーラインを超えてショックを受けている演者を前のカットと画面同じ側に配すると心理的な混乱を演出できる。また、画面の余白を詰めることで窮屈な感覚も出せる。
※カット切替の瞬間、演者に目配せなどをしてもらい位置関係を観客に認識させてもらうとよい。
2-10
カメラ側に直進してから曲がる演者を横移動とパンで捉える。
前景に何か柱やフェンスなどの障害物となるものを入れ込むと演者が混乱した世界に囚われている感じを出せる。
エネルギーの噴出と困惑を捉える。
※向かってくる速度は望遠なので遅く感じるが、横へ曲がると急に早くなり、混乱した夢のような描写に見える。
※主人公を眺める他の演者がいる場合は、固定カメラで、その冷静さを演出すると良い。
3-1
中央に長の座に座る主人公を捉える。
→カメラが席の横に向かい斜めに前進する。
→画面を傾けて余白を作ったところに別の演者がイン
→会話が始まる段階でカットを切り替え、主人公をたしなめる。
3-2
部屋に入りたい客とそれを拒む主の力関係の綱引きを描く。
客舐めの主のカットでは、近距離から望遠レンズを使い、ドア枠を映さずすでに客が部屋に侵入しているかのような絵造りをする。
リバースでは、より遠い位置から短めのレンズで撮る。事実を把握しやすい。
3-3
画面の左右どちらかが力関係が優位なゾーンと定義しておく。
寄りのショットで2人の人物を捉える。
→ワイドショットで人物の移動を捉える。演者の配置位置の左右が入れ替わり力関係の入れ替わりを示唆する。
→寄りに戻したとき、最初とは逆の位置関係になっている。
3-4
建造物の外と中の境界に立たせ不確かさや頼りなさを演出する。
カメラを中から構えて、外の光でシルエットになる演者を捉えることで面白い絵にできる。
3-5
境界線を挟んで向こう側からとこちら側からの2ショットで演者を捉える。
※ショット同士がぶつかり合うことで対立を仄めかし、演者を取り囲む環境もみせる。
※露骨に危険地帯や標識を前に描けばわかりやすいが、物理的な障害物がなくても機能する。
3-6
カメラは、とにかく追いすがられている人物を徹底的に狙い続ける。
追う人物は「やや遅れる」ことで追いつこうと努力してる感が出る。一瞬画面から見切れて、再び入ってくるようにする。
3-7
カメラは望遠レンズで、かつて力を持っていた者が敗れた演者の横顔を映し、そこに怯えや従順さが宿ったことを捉える。フォーカスは敗れた演者のみに絞る。
→その演者が画面を去ると画面がポッカリと空く
→フォーカスを背後にいた人物に合わせ彼らのリアクションを捉える。
4-1
その他の人物が身をゴソゴソ動かさないと目を向けられない位置に演者を置く。
カメラで喋る演者を捉える。
→その演者の横に配したリバースのカメラで彼へと振り返る他の演者たちを捉える。
※これは多人数グループでの会話で、彼らの位置関係を観客が見失わないための工夫の一つです。
4-2
10人以上のグループで1人がプレゼンし、その他の演者が彼に視線を送っている状況を想定。
プレゼンターのショット
→視線を画面外に送る演者たち1
→視線を画面外に送る演者たち2
※この描写で演者たちの位置関係が観客に伝わり、混乱することなく会話内容に集中してもらえる。
4-3
カメラはワンショットで撮り切る。
引きのショットから開始
→カメラが寄っていくと、発話者が興味を引く話をふり、3人は画面に収まるよう前のめりになる
→発話者の話が終わると、パンで残り2人のリアクションを捉える。
※前のめりの動作は、攻撃的な様子、または強い関心をあらわす。
4-4
ワイドショットで3人の演者を映す。会話に入らず窮屈にしてる主人公が中央で、両脇の人物が話している,
→話し手のショットでは、カメラを頭の高さに設定して、主人公を映さずに画面を詰めて圧迫感を出し、人のいない方にスペースをあける。
→もう1人の話し手も同様。
4-5
カウンター席に対して3人が座り、一番カメラ寄りの手前の人だけが反対向きに座っている状況。
ワイドショットで3人を一度に捉える。奥の演者は手前の人に向かって自然にカメラへ顔を向けれる。手前の人物がカメラを向く理由は何かしら舞台設定が必要。
→ジャンプカットで奥の2人だけのショットへ繋げる。
4-6
船の手すりやベランダの様子を固定カメラでワンショットで撮り切る。
主人公が中央ポジにやってくる。
→手前ポジの演者がやってきて会話する。
→奥の演者がやってくる。手前の演者だけが振り返り話す。
※中央の主人公は、まったく振り向かさないこと。
※例の映画では主人公は板付きです。
4-7
会話は2人をメインにされている状況下で、一般的なアングル・リバースアングルショットをワイドショットで撮る。
※各カット繋ぎ目で各演者の動作が飛ばないよう注意が必要。
※メイン話者を結ぶイマジナリーラインを想定し理由なく越えないこと。
4-8
ほぼ固定のカメラで、ドッシリ構えてほとんど動かない主人公の周りを他の演者が賑やかに動いてる様子を捉える。
※ショットのおわりは、誰かが画面に背を向けたり、別の人物がインしてくるのを合図にカットすると良い。
4-9
誰が主人公で注目すべき人物なのか観客にわからせながら撮る工夫。
ワイドショットで全員の配置を撮る。照明(明るい)、動作(大きく)、画面配置(画面中央に前のめり)で主人公を目立たせる。
→発話者舐めでは、その顔が、主人公に向けられていること。
→2ショットでは、体の傾け方や視線で主人公に能動性を持たせるることで彼が主人公だとわからせる。
4-10
シーンの中心は、常に1人の主人公にする。
主人公のクローズアップで表情を捉える。会話は背後にいる他のメンバー間でが行われている。(会話内容と主人公の反応が同じくらい大事)
→背後の演者がやってきて主人公に語りかけると、カメラはドリーで引いて彼らを収める。
※次のカットが固定なら、カメラを止める。移動ショットにつながないなら、止めずに繋ぐ。
※グループの会話シーンは、ストーリーを展開させたり、登場人物の本性を露わにする絶好のチャンス。
5-1
望遠レンズで遠さと近接感を同時に描く。主人公が奥からカメラに近づいてやってくるのにある手の努力が必要なことを演出する。
→より短めのレンズで行く手に待つ相手と舞台設定を捉える。
→ようやく辿り着いた主人公の顔を捉える。
※ヴィジュアルの印象を重視し、セリフは控えめに。
※例のように、廊下の暗がりから日差し射す窓辺へ移動することで、あたたかい出会い感を演出できる。
※フラニーとゾーイー「なんでこんなに眩しいの?」「それは俺がいつも太陽を連れてるからさ」大きな後光
5-2
引きのショットで物理的な障害物(本棚など)のサイズを明示する。
→望遠レンズでボケた障害物越しに相手を実際より近くにいるように映す。
5-3
前景には、直前までいた場所の一部(枝葉など)、中景に2人の演者の背中、遠景に目指している特徴的な景色。
カメラは演者の頭の高さでその付近から構える。
※前中後景をきちんと描けば、記憶に残る力強い絵になり、演者が後ろ姿でも成立しうる。
5-4
小道具に注目するなど正体する必然性を持たせることが必要。
やや引きめのクローズアップでそれぞれ映す。
→それぞれ同じスピード、同じサイズ感、同じ目の高さでカメラをゆっくり重々しく接近させる。
※典型的なアングル・リバースアングルになるところ、工夫してドラマ性を持たせている。
※動きを等しくすることで両人に同等の関心を持ってもらうことができる。
5-5
固定カメラで、突っ立っている演者の前を背を向けて動き回っているのを捉える。(カメラには両人の表情が見てとれる。)
歩き回る演者は部屋に一度入るなど、画面から一度見切れてもよい。
立っている演者は、体をもう1人の行き先へ向ける。
※恋愛関係で喧嘩した時などに、怒っている彼女に言い訳をする男の図に近い。
5-6
ワイドショットで、2人が踊っている状況を見せる。
→腰の高さから見上げるカメラは、わずかなフレーミング修正のみで基本固定。演者がターンで個々の顔を順に見せながら会話する。※ダンスは、心情的にはまださほど親しくないのに、身体的には接近する状況を作れる。
5-7
状況説明のワイドショット。グループの外側、カメラから1番遠く、画面ど真ん中の暗がりで注意を引こうとしている主人公。
→望遠レンズ、観客もグループ外にいて主人公を見ているようなアングルで同情心を誘う。
→最初に近いアングル。主人公がグループの周りを動いて輪の中に入ろうとカメラの前まで来ている。
※ここでは、重要なのは視覚的に示される彼らの関係性(主人公がグループの外にいるという状況)。3度反復して印象付けしている。各カットは数秒で良い。会話内容は副次的で重要ではない。
5-8
離れた位置からの肩越しショット。正面演者は画面ほぼ中央に配置され、相手の演者は後頭部全体が映されている。これにより、観客は熱い視線を強烈に感じられる。
→ほぼ同じカメラ位置でずっと広角のレンズを用いる。2人の距離感が、一度開いて、場所もよく見える。カメラの微細な動きが浮き足だった感覚を与える。
→主人公の視線を模して、相手の目をほとんど直視するショット。2人の関係性を決定づける。
5-9
スピーチする主人公の正面バストショット。
→聴衆の背後に配したドリーカメラで歩き出した主人公を画面中央に保持して追う。
→主人公が方向転換して道を戻り始めたら、カメラを主人公の背後のドリーカメラに切り替える。フォーカスは聴衆の顔、主人公の顔は大きく映るがボケてる。
※移動ショットの切り替えは、方向転換の様子をどちらの継ぎ目にも入れること。
5-10
議事堂の真ん中をスピーチをしながら横切る主人公を、ドリーカメラで追う。たくさんの人や小道具によって移動感を強調する。
→カメラが壇上に上がってくる主人公の正面に回り込み、見下ろす形で対面する。主人公は照明で明るく照らされており、多くの観衆から注目されている。
※基本は脚本の段階でスピーチそのものを必要最低限の長さに抑えるべき。
※単調にならないよう、カメラ移動、演者の位置の高さの変化、照明の変化、主人公とカメラの距離感の変化で工夫する。
6-1
主人公と階段上入り口で会った2人は画面外へ。
→主人公は入り口から振り返り、2人に声をかける。
※主人公が2人について行くかが問題なので、カットバック不要。
→主人公は階段を降り、2人と共に行く。
※付いてきた主人公に対する2人リアクションを見たいので主人公の顔は見えなくてよい。
※階段のそれぞれ違う位置にいることで、画面に映る人物の数が変化する。
※何を見せたいかを明確にし、それ以外の要素が画面外に外れる瞬間があることを喜んで受け入れること。
6-2
例では、
封書を探る様子をサイドから、見つけた後を表情が見える正面から、同じレンズ・同じ距離感で捉えている。
※顔を見合わせるときしっかり見つめ合う。すると身を寄せ合っていても違和感がない。
※親密なペアという認識が観客に伝われば2人の会話に耳を傾けてもらえやすくなる。
※身を寄せるほどの何か→ストーリーの新展開の描写として有用。
6-3
後退するカメラに向かって歩きながら会話する2人。主人公だけが相手を見て、相手は目を逸らし続ける。
→2人が立ち止まり、
→顔を突き合わせた瞬間、逆側へジャンプ。真相が明かされる。
※例では、照明も真逆になっており、ジャンプ後はシルエットになって強烈な印象を与えている。
6-4
引きのカメラで2人が正対しているのを捉える。
→カメラが寄りつつ、告げる演者はもう1人の側面に回り込み、その表情を見せる。
→告げ終わった演者がもう1人の側面から正面に再び戻ることで、告げられた側の顔が正面を向き、その表情リアクションが捉えられるようになる。
※真相を告げる側はなりげなく、告げられる側の感情の方を中心に描く。
※カメラは単純な寄りの動きのみ。1人の演者の移動によって顔を見せる演者を交代させている点に注目する。
6-5
固定カメラで天井からのワイドショット、状況説明。2人の演者がソファに仰向けに寝ている。
→各演者を固定カメラで捉える。
→真相を知っている演者のみにカメラを寄せて行く。
※特定の1人の演者のみカメラを寄せてくことで不均衡な力関係を表現できる。
※実生活の現実味を持たせるため、ソファの配置や座り方の体勢に面白味をもたせる。
6-6
カメラはパンのみで構成。
演者Aは重要な事実を告げながら、コートを掛けに、座るBの奥まで来て戻る。Bは水を汲むために立ち上がり、Aの奥を横切っていく。
※Bの居心地の悪さの描写は、①画面に背を向けて聞いている。②立ち上がり画面を横切る。③Aを通過。水汲みの時もほとんど顔を向けない。
6-7
顔は向けても、体はどっか向いている。
それぞれ単独で映す。(肩越しにしない。)
椅子から立とうとしない。
戸口から中へ入ろうとしない。
※望遠レンズを使えば表情が引き立つため、一定の親しみ感は出せる。
6-8
状況説明ショットでは、画面外の何かを注目して2人の顔が映るようにしている。また、2人の高さが異なり視線を合わすのが困難な状況にある。
→それぞれの個別ショットでも相手を一切見ない。
※長い付き合いの親友と日常的な会話をする場合、お互いを見つめたりはしない。
※親密感の描写で有効。
6-9
皿洗いをカメラ付近で行いながら親と話をする主人公。
→画面奥の棚に皿を置き、こちらを向いて立つ。
※台詞に頼らず、人物の仕草や表情だけでストーリーを新たな方向に展開させる。
※一見平凡な動きを意味づける「仕事」を与える。
※テーブルに座ったまま展開されるチープなシーンを改良するのに有効。
6-10
1人の人物からパンでもう1人の人物を映す。
→最後奥の人物が前傾になるタイミングでパンして2人が画面にオサマつるところでカメラを静止する。
※最後の止め絵の中央がガラガラにならないよう片方の演者側にカメラを寄せたり、最初の座り方を深めにしたりなどの工夫が必要。
7-1
追うための理由づけ
どちらの演者も画面のほぼ中央にフレーミング
カメラと演者の距離は一定
シーンの主眼の演者の方をアップで撮る
追いつかない場合、演者同士の距離は一定
追いつく場合、どちらか一方の演者だけ映す。
7-2
広角レンズで、移動する主人公の背後を追って映す。
→奥からやってくる人は、道を譲って止まり、台詞を言う。
→主人公は、通り過ぎた後、振り返って(こちらに顔を見せて)手前の演者に何か叫ぶ。
※止まる演者の位置に照明があると良い。
7-3
演者がカメラの横や前を歩くシーン。、
演者の顔がきちんと画面に映る工夫をする際、周囲でさまざまな出来事(抗議、警察車両、裁判所に入る人々など)が起こっているとその動きに説得力を持たせられる。
7-4
後ろからのショットは、立ち方に角度を持たせて顔を見えやすくする。互いの顔を向けあえる距離感。
前からのショットは、全員が距離を寄せ合い、前を見てその表情を捉えやすくする。
※距離感や仕草がショットで異なるのでカットバックを繰り返さないこと。
7-5
歩く2人の顔を正面から真っ直ぐ撮る。
※強い結束力の暗示。周囲の環境だけがどんどん後ろへ流れていく中で、観客は2人の心のつながりを感じることができる。
※実写だとカットを繋ぐ作業が難しい。
7-6
カメラの向こうにいる演者に向かって話す主人公。
→相手が画面にインして奥へ移動しても主人公はそのまま前向いて話す。
→相手が振り向き、その顔にフォーカス移動。主人公が振り返ってそちらに移動。
※虚空を見て話すと、一種の自己陶酔感、自分の考えに夢中な感覚が演出してされる。
7-7
2人の前方でカメラを後退させながら撮る。
カメラに近い演者を画面中央に据え、カメラの左右移動に合わせて、背後の演者も左右に移動し姿が映るようにする。
7-8
遠くから斜めに、演者の進行経路に徐々に寄っていき、最終的に2人の前に回り込む。
その後カメラは、演者を正面に捉えたまま後退する。
※仕草や会話内容を優先して伝え、最後に演者の表情を見せることになる。
7-9
カメラに向かってやってくる演者たちが通過するタイミングで180度パンしながら後を追う。
→演者が足を止めたところでカメラを複雑に動かして、人物の顔や仕草や周囲の環境を見せる。
※例では演者が向き合った奥側の人物舐めショットに向かって弧を描いて移動し、その人物がはける、その後、もう1人の人物もはけていく。
※演者の振り返りに合わせてカメラを動かすなどするとやりやすい。
※重要シーンでは使用不可。ざっと状況を見せたりと軽い使い方がよい。
7-10
カメラの動きと高さをその人物だけに合わせる。演者との間隔を常に一定にキープし、顔が画面の同じ位置に来るように撮る。
※スムーズであるほどよいのでドリーかステディカムを使う。
※多人数に対し演説するようなシーンで効果的。
8-1
アングル・リバースアングルで撮る。
演者が時折動くことで2人の物理的な距離感が変化し続ける。
女性演者がカメラに向かって怒鳴り、その後、踵を返して離れてく。
→女性演者がカメラに向かってくるのを、男性演者が追ってくる。背中越しに口論は続いてる。
※重要なセリフを口にするときは足を止めながらも、口論の大半は動き回りながら展開されるように描く。
※1ヶ所にとどまって怒鳴り合うより動き回った方が効果的。
8-2
主人公を真ん中に3人の演者が歩いてくるのを後退移動で撮る。
→真相を告げられ主人公が急に立ちどまるが、カメラはそのまま後退。脇の2人もゆっくりと止まる。
→脇の2人が振り返る瞬間、その動きに吸い寄せられるかのようにカメラが逆走し主人公のクローズアップ気味のミディアムショットになる。
8-3
ワイドショットで開始。
2人が画面中央にいる。
暗がりにライト1つで密談の雰囲気。
テーブルに膝立ちも密談の雰囲気。
→カメラが寄っていくと、画面中央にライトと布が映り、2人は画面左右に分断される。
※人間関係のほんの些細な変化を象徴的に描く手法は、1ショットで撮り切らなければ機能しない。
8-4
2人の距離感がわかるワイドショットで、それぞれが孤立しており、間に隔たりがあるのを示す。両者とも背中を向けている。
→奥の人物が振り向く瞬間、望遠レンズでその隔たりを越えてそのリアクションを捉える。
→さらに距離を詰めてもう1人の演者を望遠レンズで捉える。これにより、一瞬で隔たりがなくなったかのように演出できる。
ここでは、異常なアップによって観客に違和感を抱かせることで、心が潰れそうな情感を創出している。
※観客がずっと待っていたようなシーン、ついに登場人物たちが心に抱いていた感情をあからさまにして物語の情感が絶頂を迎えるシーンで使うと効果的。
8-5
望遠レンズで、画面に押し込むように2人を捉える。演者は90度に配置。
→リバースでこちらも両者のカオが映る角度で撮る。泣いてる側は手で顔を隠していて問題ない。
→泣いてる演者がやや平静を取り戻してきたところで状況説明のワイドショットを撮る。
※感情的→現実に戻る感覚を演出できる。
※人は感情が高ぶって押しつぶされると、外世界のことなど頭の中から消え失せてしまう。
8-6
引きのショットで、画面中央、顔を影の下に隠している主人公。
→カメラがドリーパンするタイミングに合わせて、主人公が体をひねって窓から漏れている光の方へ顔を出す。
※最後のショットは、2人の演者が階段という違う高さにいたために構成できたことに注目。
※光があたってない者をシーンのメインに据える場合は画面の中央に置く。(これは5-7でも同様にやっている。)
9-1
カメラは2人の頭の高さにあり、2人がベッドに座るとカメラも位置を下げる。
→会話をする2人に徐々に一定ペースで寄っていく。
※ぎこちなさの表現としては、体は相手に向いても顔は向いてなかったり、逆に顔は向いていても体が向いてなかったりといったチグハグで表現できる。視線の送り方もまちまち。
9-2
ワイドショットで状況説明。部屋のどこにいてどんな体勢なのか。短い尺で可。
→ポン寄りのクローズアップ。お互いの顔や視線の向きは相対していること。
→アングルを変えてもう1人の目線を捉え、その演者の言葉と仕草を捉える。
※あえて複数アングルで撮る
※静寂感を保つため、体勢の変動は最小限に。不自然にならぬよう最初から楽な姿勢が好ましい。しかし顔は極端に近くする必要がある。
9-3
カメラはソファに横たわる2人の目線の高さ、体はカメラ向きだが目線はぼんやり。
→カメラが近づきつつ徐々に上昇、それに合わせて演者は仰向けになる。
※2人が身を寄せ合いながらも目を合わせないように演出すると、強い親近感を描き出せる。
※動くことで空気感の変化を演出できる。例では、煮詰まってる状態から、仰向けになり解決法を思いついている。
9-4
カメラ奥の暗がりに体正面をカメラに向けて立つ主人公。その前に横向きにそっぽ向いて照明に照らされて座る母。
→主人公は母の差に近づき膝に跪いて見上げるのを、カメラが上昇して見下ろす。
※明るさはキャラクターの強さであり、主人公は弱く、母の愛を求めている。
9-5
演者の側面から弧を描くように正面に回り込みながら2人の会話を撮る。出だし奥の人物は少し前傾で相手に向いている。もう1人は相手を見ず正面を向いている。
→2人が顔を近づけ始めたらカメラを寄せていく。
※キスの予感めいたものをシーンに含ませたいときに有効。
9-6
広角レンズで画面の端に2人を配して撮る。
→ほぼ同位置の望遠レンズで2人の顔だけを映し、観客を会話内容に引き込む。
※例では、この後2人は向き合い、典型的なアングル・リバースアングルショットになるが、この前置きがあることでシーン全体に面白みを与えている。
※カメラの動きを少なくジャンプカットでパッと繋いだほうが、静かな囁きを観客が聴くのには向いている。
9-7
物理的に近くにいる2人を似通ったクローズアップショットで撮り、ジャンプカットで繋ぐと親密感が演出できる。
※それぞれ別の演者を強調したショットとして設定すると考えやすい。
※表情と動きが捉えやすい。
※まだ完全に親密になりきってない2人の親近感を描くには、手を巧みに使って触れ合うとよい。
9-8
必ず2人セットで捉える。
最初に広角レンズでやや側面から状況説明ショット。
→望遠レンズで演者正面から顔だけのショット。
※画面外のTVなどのショーは、演者の顔をカメラに向けさせる目的で使われている。このセットアップなら2人が話している時でも表情がわかる。
9-9
状況説明ショットで狭い空間で互い違いに座っている様子を短時間捉える。
→典型的なアングル・リバースアングル
※狭い空間に押し込まれた状況をいかし自然に設定し、無理なく親密感を演出するか。
9-10
2ショット演者が隣合わせに別方向向いている状況下で一方の演者に正体して固定で撮る。
←→同じレンズでもう一方の演者に正対するアングルで固定で撮る。カットバックで行き来。
→最初のショットの正面向き演者の顔を望遠レンズでクローズアップで撮る、この演者の発言を強調する。カメラの高さは頭の高さ。こちらは演者の動きに応じて動かして良い。
※最初のカットは、カメラと演者の距離も保つとテキストにあるが、例の絵的には寄っている。
9-11
小道具を見つめて話す2人を小道具舐めで捉える。
人物は画面中央に配置。
※心のつながりを表現する上では単純に見つめ合うより、小道具を介した方が強力。
※演者が小道具に手を触れることで、まるでお互いが触れ合っているかのような雰囲気となり、親密度が高まりゆく状況を描くのに最適。
10-1
主人公の手元ショットで、電話機と電話帳を見せる。
→受話器を耳に持っていくのに合わせてカメラを表情を捉える位置へ。待つ表情を捉える。
→ティルトアップして、話し始めた彼女の表情とボディランゲージ、周りの空間を捉える。
※電話でのクローズアップアップは避ける。電話中は、自分の思考や言葉に応じて身体を自由に動かすものなのでそれを捉えるべき。
10-2
窓の外を眺めながら電話する主人公をやや背後から望遠レンズの固定カメラで捉える。表情が多少は見えており、感情移入が可能になっているが、基本は見えず、観客からも孤立させられている。
→引きのショットで、表情は見えない。部屋の様子と、窓の向こうの都会の景色が見える。主人公が故郷を離れ見知らぬ土地に来ている状況が描写されている。
※観客は背後から覗き見てる気分になる。
※背後からのショットは、カメラを動かすとホラーのようになり、固定にすると孤独感を描写できる。
10-3
強いコントラストを描写することで面白くする。
贅沢で整頓された部屋vs汚くて散らかった部屋
ベッドに横たわりリラックスしているvs忙しなく動き回っている
10-4
主人公が、電話中に背を向け窓に進み、窓の下の1階の様子を映す。同時に窓ガラスの反射でその表情も捉える。
※1階の様子を編集で繋がず、ワンショットで撮り切ることで優美な印象を得ている。
※電話シーンで描写することで、早急な動きになることをを緩和し、シーンの意図があからさまに伝わるのを防止できている。
10-5
廊下の奥から撮影。見守る2人が右にいるため、電話をする主人公は自然と通路側に身体を向けられる。
→電話相手のショットは望遠レンズで背景をぼかし、演者を画面中央に配している。
→カメラは角の曲がったとこからのショット。相手からインパクトあるセリフを言われ、主人公は壁は方向に、向き直るが、これを正面として捉えられる。また、奥の2人の表情も捉えられている。
※通路の途中の電話では自由度が180度しかなく、最後のショットは作れなかったが、通路の角という立地にあるだけでショットの自由度が270度になり、選択肢が広がる。
11-1
シーン冒頭では同じ方向を見ていた演者たちが、ある時点で体の向きを互い違いにして話し始める。
※体の向きをが異なることで対立関係を示唆し、また、視線を交わすことも拒んでいる。
11-2
カメラの高さは、ピアノを弾く主人公合わせ。奥から別の演者がやってきて情報を知らせる。
→主人公は立ち上がり、躊躇ない流れでその演者に顔を見せないよう前進する。これをカメラのシンプルなパン、ティルトと短い横移動で捉える。フォーカスは主人公にあり、別の演者はボケ、画面外に外れる。
11-3
メインの演者のショットから始める。
※どの人物も手に小道具を持っていることに注目。
※どの人物も相手と目を合わせていないことに注目。
11-4
※例では常に見られる位置に主人公が座しているが、食べるものを手にしているので、会話することだけに囚われなくて済む状態にある。また主人公は相手を見るのに左を向かなくてはならない。友達同士とはいえ、主人公に守勢の感覚が芽生える形になっている。
11-5
シーンの開始時は2人が同じ部屋にいるところから始めること。
→1人が隣りの部屋にいき、その部屋にある鏡を通して2人は会話をする。
→隣の部屋からひょいと顔を出して会話する。
11-6
通路の奥が見えない角からスタートし、真ん中で止まる。ストーリー上足掻いている演者たちの様子を遠くからそっと見つめる感覚を観客に与える。
11-7
ETに対面する3人を正面から捉えたショット。バリモアが前進すると、観客は、その視界にあるETが次に映ることを予測する。
→予測を裏切り、バリモアが振り返るショットが映る。
※緊迫感の引き伸ばしと、演者の表情の描写ができている。
※カメラ目線にならないよう、何かマークを見てもらうように演者の視線誘導すると良い。
11-8
カメラは基本的にあちこち移動する主人公を中心に追い、他の演者への切り返しショットはしない。これは、主人公が彼とすれ違う際にチラッと画面に映るために成立する。
※このショットにより、この映画の主人公は誰か、このシーンの主役は誰か、今は主人公にだけフォーカスを当てているということが明確に観客に伝わる。
11-9
カメラは固定でも、人物が動くことでその奥にあったものが開示されシーンに深みを与える。
※メインの人物は1番明るく照らし、大きく映っていること。
※演者の画面からのインアウトを契機に構図の微調整でカメラを動かす。
11-10
カメラは、大事な場所を前にした演者たちを背後から映し出し、その間に分け入って主人公の表情リアクションを映し出す。
※カメラが分けいることで、2人の演者の間に何かしらの対立関係が生じたことを描写している。
11-11
小道具を用いてそれを乗り越えるべき障害として扱う。
例ではフィルムが吊るされており、望遠レンズで撮られた画角の中央に縦のラインを作っている。奥の演者がこれを移動させる。
→広角レンズで画面中央に2人の演者を近く描写する。